学生の就職活動において様々なシーンで記入する「エントリーシート(ES)」。ESには志望動機やガクチカ、長所・短所などあらゆる質問が設けられています。
中でも「自己PR」は、ほとんどの企業で問われる設問ですが「自己PRって何を書けばいいの?」「人より優れているところがない!」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
本記事では自己PRで悩んでいる方に向けて、自己PRの考え方や書き方、PRできるポイントの見つけ方などを詳しくご説明していきます!
自己PRをマスターできれば就活を有利に進めることができます。細かい注意点や書き方のコツを覚えて、より魅力的なESに仕上げていきましょう。
自己PRとは?自己紹介との違い
そもそも自己PRとは「自分の強みを売り込む」もの。一方で自己紹介は、自分自身が「どんな人間か知ってもらう」ためのものです。
自己PRを伝える際には、実体験や実績を基にした具体的なエピソードなどを交えるのが基本です。なるべく詳細に、説得力のある文章で伝えることが大切です。
自己紹介は簡潔にまとめることが大切ですが、自己PRは具体性を高めるのが重要になります。
自己PRの考え方
魅力的な自己PRを書くためには、自分のアピールできるポイントを明確にする必要があります。自分の中のどんな要素をアピールするのか、長所や強みが仕事にどう活かせるのかなど、PR内容を具体的に考えていきましょう。
ステップ1:自己PRの素材を見つける
最初のステップとして、自分をアピールするための素材(ネタ)を探すところから始めましょう。
これは自分をアピールできる要素なら何でもいいので、思いつくものをどんどん出していきます。「特技」や「長所」、「好きなこと」に「毎日の日課」など、どんなものでも構いません。
思いついたものは紙に書いたり、スマホやPCでメモしておくなどして、視覚的に見られる形にまとめると良いでしょう。
自己PRとなると、どうしても自分の優れた点を探してしまいますが、このステップでは「自分の特徴を探す」という視点で考えます。
そうすることで、素材探しのハードルがグッと下がります。まずは気軽に思いつくままに書き出してみましょう!
ステップ2:素材を言語化する
ある程度素材がそろったら、それぞれ「言語化」していきます。
自分の特徴や強みを自己PRの文章に落とし込むには、深堀りして、具体的なエピソードに繋げていくことが必要になります。この言語化のステップは大切です。
具体的な方法としては、思いついた素材を「特性」や「性格」に落とし込んでみましょう。例えば、次のような考え方ができます。
以上のように、ステップ1で出した素材を、より具体的な「能力や特性に言い換える」ように考えてみましょう。
ステップ3:根拠となるエピソードを探す
ステップ2で言語化したPRポイントを自己PRとして実際に書く際は、根拠となるエピソード(実体験や実績)を添えて伝えると効果的です。
自己PRの目的は、長所や強みを自分のアピールポイントとして伝えることです。そこで、具体的な根拠を添えて伝えることで、人材としての将来性・可能性を感じてもらいやすくなります。
例えば、「好奇心が多く学習意欲が高い」という特性を強みとしてアピールする場合、過去の体験から「好奇心や学習意欲が成果につながったエピソード」などがあると説得力のある自己PRになるでしょう。
ステップ4:PRポイントと企業のニーズが合っているか考える
ここまでで、自身のアピールポイントと根拠がそろいました。最後のステップでは「企業とのマッチ度」を考えていきます。
自己PRは自分の強みを売り込むものなので、「その強みが企業で役に立つ」ということを企業側に理解してもらうことが重要です。そのために、自己PRの締めくくりとして「具体的にどう仕事に活かせるか・貢献できるか」という点を意識しましょう。
これについて考える手順は以下のようになります。
1)企業が求めているものを考える
2)それに対してどう強みを活かせるか考える
この「企業のニーズ」と「自身の強み」を結び付ける作業が欠けてしまうと、その人の良さは伝わっても、企業にとって魅力的な人材なのかどうかの判断ができません。企業のニーズ分析を並行して行いうようにしましょう。
自己PRは「強み」「根拠となるエピソード」「どう活かせるか」の3つの要素で考えましょう!
自己PRの書き方
3つの要素を軸に考えたら、実際に自己PRを書いていきましょう。
ここでのポイントは、「3つの要素を正しい順番で書いていくこと」です。内容がよりスムーズに伝わる順番を意識しながら書いていきます。
自己PRは3要素で書く
自己PRを書く際の3要素は「経験を基にした強み・長所」、「根拠となる具体的なエピソード」、「強みを業務にどのように活かせるか」の3つです。これは自己PRを考える際の3要素をもう少し具体的にした形です。
ここからは、3要素をどのようにして文章に落とし込んでいくのかを<例文>を使いながら説明していきます。
経験を基にした強み・長所
ここでは例として「視野が広く、客観性が高い」という強みを基に考えてみます。
<例文>
私は美術サークルに所属しており、定期的に開催する作品展示会の企画立案を担当していました。そこで身に着けた「客観性」と「広い視野」が私の強みです。
このように、実際の経験や実績を基にした強みや長所をアピールしましょう。ここで重要なのは、この強みが「志望企業で活かせるもの」、「企業が求める人材に合わせたもの」になっていることです。
あらかじめ企業のニーズを把握しておき、それに合ったPRポイントをアピールするようにしましょう。
根拠となる具体的なエピソード
次は、強みの根拠となる具体的なエピソードを書いていきます。「強みをどんな形で発揮して、それによってどんな成果を得られたのか」というストーリーを伝えることを意識しましょう。
例として、前述した「視野が広く、客観性が高い」の強みを伝えた後の続きを想定して書いていきます。
<例文>
具体的な成果として、私が中心となって企画した展示会は、入場者数が500名を超え、過去6年間の中で最も集客することができました。その要因として大きかったのは参加者の視点を軸に計画したことです。
展示会の会場デザインとPR方法を考える上で、客観性を重視した企画を意識しました。特に会場外面の装飾にこだわり、会場前を通った人が入場しなくてもアートを楽しめるように工夫しました。これにより外からの注目度が高まり、当日まで展示会の存在を知らなかった人の入場を促すことができました。
結果として入場者数は目標の2倍以上となり、満足度評価では約7割の人から高評価を得られました。
このように、最初に伝えた「強み」を詳しく説明するような形で、具体的なエピソードを書きましょう。
ポイントは、「強みをどう活かしたか」と「どんな考えで行動したか」、「どんな成果を得られたか」という3つです。
強みを業務にどのように活かせるか
最後は、実際の業務で強みをどのように活かせるのかを書きます。ここでも「企業が求めているもの」に合わせたアプローチを軸にすることを忘れないようにしましょう。
引き続き、「視野が広く、客観性が高い」の続きとして例文を見ていきます。
<例文>
こうした経験は、貴社の〇〇の業務で活かせると考えています。入社後はまず△△について取り組み着実に力をつけて、最終的には□□のような業務でも強みを発揮したいと考えています。
このように、ここまでアピールしてきた強みが実際の業務にどう活かせるのかを具体的に伝えるようにしましょう。
ポイントとして、「入社後の取り組み」と「最終的な目標」などを交えて話せると、より可能性を感じてもらいやすいです。
3要素を書く順番
自己PRを書く際、もう1つ重要なポイントが、「3要素をどんな順番で書くか」です。いくら素晴らしい内容でも、伝える順番が不適切だと期待通りの評価を得られません。
理想的な順番は、以下の通りです。
1)「経験を基にした強み・長所」
2)「根拠となる具体的なエピソード」
3)「強みを業務にどのように活かせるか」
これまでの例文をつなげると下記のようになります。
この順番は、「結論」➡︎「具体例」➡︎「結論」という構成になっており、受け手側が内容を理解しやすい構成になっています。
自己PRを書く際は、この順番通りに書くことでスムーズに内容が伝わるので、必ず意識しましょう。
PRポイントが見つからない場合
ここでは、「そもそもPRポイントがみつからない」、「自分の強みが思いつかない」という人向けにPRポイントの見つけ方を3ステップに分けてご説明します。
ステップ1:企業のニーズをリサーチする
自分の強みやPRポイントが見つからないときは、最初に考える項目を「企業ニーズ」に切り替えてみましょう。
本来は自分の強みを最初に探しますが、ここでは最初に企業ニーズを考え、そこから逆算するようにして自己PRを考えていきます。企業ニーズのリサーチには以下のような方法があります。
- 応募要項や求人票
- 企業ホームページの企業理念や人材育成に関する情報
- 志望企業が注力している分野、強みとしている分野の特徴
上記のようなポイントで調べてみると、企業がどんな人材を求めているのか、どんな能力が業務に活かせるかなどが見えてくるはずです。
ステップ2:過去の経験、実績を振り返る
企業がどんな人材を求めているかある程度イメージできたら、それに関連する過去の体験やエピソードを考えてみましょう。
例えば、「積極的に挑戦する人」や「チームワークを大切にする人」を企業が求めているとします。この場合は、「自分が過去にチャレンジして得た成果」や「チームで協力して取り組んだ実績」などが関連エピソードの1つといえます。
このように、企業ニーズに関連する具体的なエピソードを洗い出していきましょう
ステップ3:エピソードを基に言語化する
「企業ニーズ」、「関連する具体的なエピソード」の2つがイメージ出来たら、最後は自分の強みを一言で表してみましょう。
関連エピソードを基に、そこから汲み取れる自分の強み、特徴が何かを考えていきます。
この他にも、「問題解決力」や「発信力」、「発想力」に「思考力」など、「一言で表せる能力」には様々なものがあります。自分のエピソードがどんな強みに言い換えられるか深く考えてみてください。
注意!自己PRでやってはいけないこと
自己PRの考え方、書き方が分かったところで、「自己PRでやってはいけないこと」についても理解しておきましょう。
魅力的な内容に仕上がったとしても、書き方や表現で損をしてしまうというパターンも珍しくありません。そうならないように、よくあるミスや注意点についてご説明します。
具体性がない
自己PRは自分の強みや可能性をアピールするものですが、具体性や根拠がなければただの長所のアピールになってしまいます。
例えば、「コミュニケーション能力」を強みとしてアピールする場合に、「私の強みはコミュニケーション能力です」ということだけを伝えても、それがどう仕事に役立つのか、どんな経験が背景にあるのかがわからなければ十分に魅力が伝わりません。
強みをアピールする際は、次のような具体的な要素を添えて伝えるようにしましょう。
- 強みがどんな仕事に役立つのか
- どんな状況で強みを発揮できるのか
- 強みに成長性や可能性があるか
仕事の種類や状況、今後の可能性といったあらゆる要素を交えて、自分の強みが企業のプラスになることをアピールできると理想的です。
人間性が感じられない
企業は、ESの内容を見て「応募者がどんな人間なのか」を想像します。採用担当者に「面接でこの人に会って話を聞いてみたい」と思わせるためには、ESから人間性が感じられる内容にする必要があります。
人間性のある内容にするコツは、「感情を書くこと」です。具体的には、以下のようなポイントを意識してみましょう。
- 「なぜ行動したのか」
- 「どう思ったか」
- 「今後どうしたいか」
自己PRの具体的なエピソードの内容に、上記のポイントを一緒に書き込むようにしましょう。
エピソードの中であなたは何を思ったのか、どんな気持ちで行動したのか、その出来事から今後どうしたいと思っているかなど、「感情」を意識したエピソードにするのがおすすめです。
表現が曖昧である
自分の強みを伝える際に、言葉の語尾が曖昧な表現にならないように注意しましょう。以下の例を見てください。
私の強みは、分析力に長けていることだと思います。
➡︎「私の強みは、分析力に長けていることです。」
この強みは、貴社の〇〇の業務に役立つかもしれません。
➡︎「この強みは、貴社の〇〇の業務に役立てることができます。」
両者の違いは、「語尾を言い切っているかどうか」です。言葉の語尾を「○○です」と言い切る形にすることで言葉の説得力に違いがでます。
「○○だと思います」、「○○のように感じます」といった曖昧な表現は避け、きっぱりと言い切るように文章を組み立てましょう。
自分の良さが伝わる自己PRを作ろう!
今回は「自己PRの書き方」を中心に、その考え方や注意点について解説しました。今回のポイントを振り返ってみましょう。
1)自己PRの3要素は「強み」「具体的なエピソード」「どのように仕事に活かせるか」の3つ!
2)3要素の書く順番は「強み」→「具体的なエピソード」→「どのように仕事に活かせるか」
3)自己PRは「企業が求めている人材(企業ニーズ)」に合わせて考える!
自己PRの目的は、企業に自分をアピールすることです。自己PRを考える際は「企業の求めるもの」を常に念頭に置き、適切にアプローチできる内容を考えていきましょう。自己PRの質が上がれば、ES全体が魅力的なものになるはずです。
今回の記事を参考に、ぜひ自身の強みが伝わる良い自己PRを作成してくださいね!