インターンや面接のスタイルが多様化している近年。採用試験のオンライン実施なども増え、選考フローの形式も従来から少しずつ変わってきています。
そうした中で、「就活はいつから始めればいいの?」、「何から準備したらいいの?」など、就職活動に対して不安を抱いている方もいるのではないでしょうか?
本記事では、就職活動の全体的な流れを解説し、「就活でやるべきこと」や、就活において重要となる「軸の決め方」なども分かりやすく説明していきます。
就活準備から内定までの一連の流れを把握して、1つずつ着実に取り組んでいきましょう。
就活準備はいつから始めるのが良いのか
まず、本格的な就職活動の最初のスタートラインとなるのは「インターン・説明会」の参加です。
興味のある企業のインターンや説明会に参加して、そこからさらに業界研究・企業研究を進めて理解を深めていくのが基本の流れとなります。
インターンや説明会の開催は通常6月頃からのスタートが一般的です。よって、大学3年生の6月頃から就職活動準備期間がスタートします。
「就活準備は6月から取り組めば良い」と考えることもできますが、実際は6月以前から「自己分析」や「業界研究」に取り組むことができます。
実際に就職活動を始めた際に焦ることなく有意義な就職活動をするためにも、「どのように働きたいか」や「どんな仕事があるのか」といった点を早めに考えておくようにしましょう。
「将来について考えてみる」ということが就職活動の第一歩であり、考え始めるタイミングに早すぎるということはありません。
就活準備から内定までの全体的な流れ
引用:dodaキャンパス
大学3年生6月~「就活準備・インターン参加スタート」
この時期から「インターン・説明会」の募集が本格的になってきます。自分が興味のある業界や企業についての情報収集をしながら、様々なインターンへ参加してみましょう。
インターンに参加してみて大きくイメージが変わる場合もあれば、理想通りの確信を得られることもあります。
インターン参加は社風・仕事への理解を深め、選択肢を絞るヒントを見つけるステップといえるでしょう。
インターンなどの参加は卒業前年度の6月から始めるのが一般的で、この時期のインターンは「サマーインターン」として開催される場合が多いです。
最もインターンが多い時期になるので、行ってみたいインターンの日時が重複してしまう場合も・・・。事前に優先順位を決めておくことをおすすめします。
大学3年生10月~「筆記試験対策・秋冬季インターンスタート」
この時期から秋季・冬季のインターンが始まります。6月からのサマーインターンと似た内容をもう一度実施する企業もありますが、全く異なる内容を行う場合もあります。
中には夏のインターン参加者限定で開催されるイベントや、夏・秋インターンどちらかにしか参加できないという条件がある場合も。強く志望している企業がある人は、夏と冬の両時期のインターン情報を集めるようにしましょう。
9月以降に行われる秋冬インターンでは、より採用・選考との関連が濃くなっていく傾向があります。
例えば、一次試験が免除されたり、一般選考ルートと異なる選考ルートが用意されていたり、メリットを得られる場合も多いです。
その分、参加者を絞るなど選考が厳しくなる可能性もあるので、インターン情報は漏れなく確認しましょう。
大学4年生3月~「本選考サイトOPEN・会社説明会スタート」
企業の本選考サイトがオープンし、より本格的な「企業説明会」がスタートする時期です。興味のある企業に「プレエントリー」をして説明会に参加することで、より深い情報収集が可能になります。
これまでのインターンよりも選考に近づいたステップで、説明会の内容を踏まえて「実際に選考を受けるかどうか」を判断する流れになります。
まずはプレエントリーをして、詳しい選考情報を集めてみましょう。本選考前の説明会は内容が濃く、意思決定のきっかけが得られる場合もありますよ!
企業に対し「私は御社に興味があります」という意思表示をすることです。これにより説明会や選考スケジュールなどの詳しい案内を受け取ることができます。
志望企業はもちろん、まだ意思が固まっていない場合でも積極的に説明会に参加してみましょう。
大学4年生6月~「本選考スタート・内々定通知」
本選考がスタートし、徐々に内々定が出始める時期です。ここで決まるのはあくまでも「内々定」なので、早めに内々定通知を貰ってもそこで終わりではなく、より自分にマッチした企業を探してみましょう。
内々定とは、「10月になったら内定を出しますよ」という口約束のようなもので、法的に労働契約が成立した状態ではありません。
そのため、内々定後も就職活動を続けることができ、複数の企業から内々定を貰うことも問題ありません。
大学4年生10月~「内定式・内定承諾」
この時期になると、内々定の状態から正式に「内定」が決まります。
多くの企業は10月1日に内定式を行い、学生と企業の間で「内定承諾書」を取り交わすことで、法的に労働契約が成立する流れです。
就職活動でやるべきこと
さて、就職活動の全体的な流れを把握したところで、次は具体的な取り組みについての理解を深めていきましょう。
業界研究・企業研究
「業界研究・企業研究」は就職活動の基本であり、納得のいく選択をするためにはなくてはならないプロセスです。
これは、「志望業界や企業が決まっている人」も「決まっていない人」も関係なく取り組むべき項目になります。
すでに働きたい業界などが決まっている人は、選考に向けたより深い情報収集が必要となるため、業界研究の必要性もおのずと高くなります。
また、業界研究や企業研究は自発的にいつでも始められるので、「学年を問わず誰でも取り組める就職活動」ともいえます。
なるべく早い時期から将来について考える時間を作っておくと、その後の活動がスムーズに進められるでしょう。
志望業界が決まっていない人は「選択肢を知るための手段」として業界研究に取り組みましょう!
業界を知ることで、自分の興味のあることややってみたいことに出会える可能性があります。まずは仕事を知るという意味でも、しっかりと業界研究を行います。
インターン参加
インターン参加では、企業の業務の一部を実際に体験できるほか、そこでしか知り得ない情報や社風などを直に感じることができます。
さらに、座談会などで現役社員と対話できる場合も多く、疑問点や不安に思っている点などを質問できる貴重な機会でもあります。
インターンの中には、「業界理解のための初級者コース」のような気軽に参加できるものも存在します。
「これから業界研究を始める」という人におすすめのインターンになりますので、積極的にインターンへ参加し、企業研究に活かしていきましょう。
自己分析・ESの準備
「自己分析・ESの準備」は、就職活動開始から内定までの長い時間の間で、継続的に取り組むべき項目になります。
自己分析
自己分析は「志望動機」や「自己PR」を固める上で重要な過程であり、実際の選考試験でのパフォーマンスにも影響するポイントになります。
さらに、選考試験のみならず、その前段階の「業界・企業選択」においても意思決定の基準となるため、1度や2度ではなく定期的に取り組むのがおすすめです。
ES
ESは、インターンや各種説明会などで提出を求められる場合があり、本番の選考試験でも提出が必須となる場合が多いです。就職活動中は様々なタイミングでESを記入する必要があります。
企業ごとにESの体裁や特徴が異なり、記入する際に細かい差はありますが、ESには共通しているポイントがあります。
- 人柄や熱意を見るための書類である
- 「自己PR」、「志望動機」について問われる
- 「長所・短所」、「学生時代に注力したこと」について問われる
上記のような設問に対し、具体的に記入できるようにしておきましょう。そして、ここでもまた「自己分析」が必要となってきます。
OG・OB訪問
「OG・OB訪問」は、企業の公式ホームページや一般公開されている情報では得られないような「業界・企業のリアル」を知るチャンスです。
実際にその業界で働く人だからこそ分かること、感じていることを聞ければ、それまで見えていなかった新たな視点を見つけるきっかけになるかもしれません。積極的に取り組んでおくのがおすすめです。
筆記試験対策
採用試験では、選考過程で「筆記試験」を実施する企業がほとんどです。中には「適性検査と面接のみ」というような企業もありますが、多くの企業では様々な筆記試験を実施しています。
筆記試験の傾向には業界ごとに特徴が見られますが、「必ずこれが出る」や「これさえ対策すれば大丈夫」というようなことはありません。
自身が志望する業界・企業ついて入念にリサーチし、「出題の可能性がある」ものについて総合的に学習しておきましょう。
- SPI
- GAB
- 玉手箱
他にも企業独自の試験や、「TAL」などの特徴的な筆記試験も存在します。それぞれに合った対策を見つけ、根気強く取り組んでおきましょう。
どの筆記試験においても、反復練習・習慣的な学習が大切なポイントになります。
「面接は高評価だったのに筆記試験で減点される」というのはもったいないですよね。
筆記試験対策は努力で解決できる問題が大半なので、リサーチ&学習を継続して行うことが内定を掴むための一番の近道となります。コツコツと繰り返し学習しましょう。
面接対策
本番の採用試験で合否に大きく関わるのが「面接」です。ESや筆記試験でも熱意や適性を採点されますが、最後は「面接次第で決まる」といっても過言ではないでしょう。
自身の人間性や人材としての可能性をアピールする上で、実際に対話をする「面接」というのは重要度が高く、十分な対策が必要です。
「過去の質問例」を基に回答を準備することも大切ですが、自分の中で「軸」をしっかり定めておくことが重要です。
この「軸」こそが、面接のみならず就職活動全般において大きな意味を持つポイントともいえます。
また面接の基本的なマナーなどは参考書や対策サイト、アプリなどを活用して学習しておきましょう。
就活に必要な「軸」とは?
就活で最も大切な「就活の軸決め」
そもそも「就活の軸」とは、仕事を選ぶ上で「譲れない条件」や「希望・理想」のことをいいます。
これは人により様々で、「やりがいのある仕事がしたい」や「安定した収入がほしい」、「裁量の大きいポジションで働きたい」など、人それぞれ違ってきます。
軸とはつまり「仕事選びの基準」であり、この基準を明確にすることで、自分の希望に沿った業界・企業を見つけることができます。そして、そこに入社するために必要なことを実行していくのが就職活動というわけです。
それでは、「就活の軸」が一体なぜ大切なのか、具体的なメリットを交えて見ていきましょう。
就活の軸が大切な理由
就活において「軸」が最も大切といわれる理由。それは、軸を決めることで以下の3つの「質」が高まるからです。
- 就活の質
- 面接の質
- 入社後の仕事の質
「軸」で「就活の質」が高まる
軸が決まっている人は、「その業界・企業を選んだ理由」が明確な状態で就活を進めることができます。
理由が明確になることで、「インターン参加」や「業界研究」などに目的を持って取り組むことができ、結果として得られる情報や体験の質が上がるのです。
さらに、「次は何をやるべきか」という判断も正確になってきます。正確な判断と目的ある取り組みで、実りの多い就活が実現できるでしょう。
「軸」で「面接の質」が高まる
試験本番の面接ではどんな質問をされるか分かりませんが、そんな状況で自分を助けてくれるのが「軸」です。
面接対策では、「様々な回答パターン」を事前に準備して対策を行いますが、実際の面接では突飛な質問が来ることもあり、準備していた回答では対応しきれないというケースも予想されます。
そんな予想外の質問にも的確に回答するためには、「自分の考えを持っておく」必要があります。
自分の考えがしっかりしている人は、どんな質問が来ても「自分はこういう考えをもっているので、その質問についてはこうだと思います。」というように「根拠」と「結論」をはっきりと伝えることができるからです。
そして、この「自分の考え」を形作るのが「軸」なのです。
「軸」で「仕事の質」が高まる
軸とは「仕事選びの基準」という説明をしましたが、その基準が決まっているということは、「こんな仕事がしたい」や「仕事からこんなものを得たい」など、仕事に対する目的が決まっているということです。
実際の仕事現場において、目的意識を持って仕事に取り組む人とそうでない人では、「生み出す成果」や「成長速度」に明確な差が出てきます。
目標とするポジションや身に着けたいスキルなど「目的」が決まっている人は、そのために必要な取り組みが実行でき、相応の成果を生み出せるということです。
「就活の軸」作り方
軸を決める3ステップ
自己分析 ➡︎情報整理 ➡︎深堀り
<ステップ1>自己分析で自分の考えを見つける
軸を決める上で、まずは「自己分析」をしてみましょう。自分自身を見つめなおして、「やりたいこと」や「得意なこと」、「理想の社会人像」などを考えてみてください。
自分の中にある価値観や理想に目を向けることで、自分が仕事に対して求めるものが少しずつ見えてくるはずです。
自己分析では、「どんな仕事がしたいか」、「仕事から何を得たいのか」、「どんな人間になりたいか」という3つの視点で考えてみると、自分が本質的に求めているものが分かりやすいでしょう。
ある程度自分の中の理想や考えが見えてきたら、それらの情報を整理していきます。
<ステップ2>情報整理で深掘りの準備をする
軸の基となる「自分の理想」や「考え」がいくつか出てきたら、更に深掘りしていく必要があります。
しかしその前に、それぞれの要素を効果的に深掘りするために情報を整理してみましょう。
情報整理は「視覚的に見やすい状態」にすることで、より進めやすくなります!
見やすく整理する方法としては、次のようなものがあります。
- スマホやパソコンで表にする
- ノートに箇条書きでまとめる
- マインドマップにまとめる
これらの方法はどれも情報を見やすくする効果があり、複数の要素について考えるのが簡単になります。
まずは思い浮かんだことを見やすくまとめて、それから深掘りへ進むようにしましょう。
マインドマップとは、頭の中で考えていることを文字や表で図式的に表す方法のことです。
最近はマインドマップを簡単に作成できるツールやアプリも多いので、併せて活用してみるのもおすすめです。
<ステップ3>深掘りで「なぜ?」を追求
見やすい状態に整理できたら、1つずつ「深堀り」していきましょう。
浮き彫りとなった自分の理想や考えに対して「なぜそう思ったのか?」という疑問をぶつけてみてください。
なぜ?どうして?という問いを繰り返すことで、自分の考えの奥にある「根本的な理想」や「理由」などが明確になってきます。
「なぜその業界なのか」、「何がしたくてどうなりたいのか」、「仕事に何を求めているのか」など、様々な視点で問いを繰り返してみてください。
「どうしたいのか」と「どうなりたいのか」という2つの視点で考えると、最終的な「軸」を見つけやすくなります!
早めのスタートで納得のいく就活を!
今回は就活の全体的な流れや「軸」について解説しました。今回のポイントを振り返ってみましょう。
- 就活スタートは早いに越したことはない!自己分析や業界研究は早めに取りかかりましょう。
- 本格的な活動は卒業前年度の6月からスタート!
- 「就活の軸」は必須!軸を定めて就活に取り組みましょう。
就職活動では、インターンや選考の時期など「全体の流れ」を把握した上で、やるべきことを1つずつ行っていくことが大切です。
有意義な就職活動にできるかどうかは、「就活の軸」によって決まります。できるだけ早い時期から自己分析を行い、自分の中の「軸」について考えておきましょう。
「自分が求めるもの」を追求しながら、これからの活動に取り組んでみてください。